疲労物質とは何か、乳酸との関係や疲れを感じる仕組みについて解説します。活性酸素や疲労因子にも触れながら、疲労をためないために意識したい休息・睡眠・食事などのポイントを紹介します。
目次
疲労物質とは?疲れを感じる仕組みを知ろう
疲労物質は「疲れ」とどう関係している?
「最近、なんだか疲れが抜けない……」と感じることはありませんか?
疲労について調べていると、「疲労物質」という言葉を目にすることがあります。
疲労物質は、一般的には疲れに関係する体内の物質や因子を指す言葉として使われています。なかでも研究が進められているものの一つが、**疲労因子(FF:Fatigue Factor)**です。
厚生労働省の研究資料では、体の活動によって生じる老廃物などが疲労因子を誘導し、その後、サイトカインなどを介して脳へ疲労のシグナルが伝わる仕組みが研究されています。福井県立大学
活性酸素と疲労感には関係があると考えられている
「じゃあ、どうして疲労因子が増えるの?」と気になるところですよね。
運動や日常生活で体が活動すると、酸素を使う過程で活性酸素が生じます。活性酸素は体に必要な働きも持っていますが、過剰になると細胞への酸化ストレスにつながるとされています。こうした細胞への負担が、疲労に関係するシグナルにつながると考えられています。コーワ健康情報サイト
ちなみに、以前は「乳酸がたまるから疲れる」とよく言われていました。しかし現在では、乳酸そのものを疲労の原因とする考え方は見直されています。乳酸はエネルギー源として利用されることもわかってきました。オムロン ヘルスケア
つまり、「疲れ=何か一つの物質がたまった」と考えるよりも、体内でさまざまな反応が起こり、その結果として疲労感が生じると捉えるほうがよいでしょう。
引用元:厚生労働省「疲労のシグナル伝達径路および疲労因子(FF)の同定」
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疲労物質と乳酸の関係は?「乳酸=疲労物質」は本当?
乳酸は本当に疲労物質なの?
「運動すると乳酸がたまって疲れる」と聞いたことはありませんか?
たしかに、激しい運動をしたあとには乳酸が増えることがあります。そのため、以前は乳酸が筋肉の疲労を引き起こす「疲労物質」と考えられていた時期がありました。
しかし現在では、乳酸そのものを疲労の原因とする考え方は見直されていると言われています。厚生労働省の資料でも、乳酸は以前から筋疲労との関係が研究されてきた一方、近年はカリウムイオンやリン酸など、ほかの要因も筋疲労に関係するとされています。(mhlw.go.jp)
「じゃあ、乳酸は悪いものじゃないの?」と思いますよね。実は、乳酸は体の中で再び利用される物質でもあります。
乳酸はエネルギー源として利用される
運動中、筋肉ではエネルギーを作る過程で乳酸が生じます。そして作られた乳酸は、そのまま体内に残り続けるわけではありません。
研究では、乳酸は糖代謝の中間体であり、エネルギー源として利用されることが示されています。特に運動中や運動後には、乳酸が酸化されてエネルギー産生に使われるとされています。(jstage.jst.go.jp)
つまり、「乳酸が増えたから疲れた」と単純に考えるのは難しいということです。疲労には運動の強度や時間、エネルギーの消費など、複数の要因が関係すると考えられています。
乳酸=疲労物質というイメージは今でも耳にしますが、現在の知見では、乳酸を「疲れの原因」とだけ捉えないことが大切と言えるでしょう。
引用元:厚生労働省「筋骨格系の指標」
引用元:J-STAGE「乳酸はエネルギー源で、適応を起こすシグナルである」(jstage.jst.go.jp)
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疲労物質が増えやすい原因とは?
激しい運動や活動を続けている
「運動した日は、いつもより疲れを感じる……」という経験はありませんか?
体を動かしたり、長時間活動したりすると、エネルギーを作るために多くの酸素が使われます。その過程では活性酸素も発生しますが、増えすぎると細胞への酸化ストレスにつながると考えられています。こうした細胞への負担が、疲労に関係する反応を引き起こすとされています。大分大学
特に、普段より負荷の大きい運動を急に行ったときは注意したいところ。「運動は体にいいから」と頑張りすぎず、疲れ具合を見ながら休むことも大切でしょう。
睡眠不足やストレスが重なっている
「最近は運動していないのに、なぜか疲れる」という場合、睡眠不足や精神的なストレスが関係している可能性もあります。
疲労は肉体的な活動だけでなく、精神的な作業によっても生じると考えられています。研究では、体や脳を使い続けることで活性酸素が生じ、細胞への負担から疲労因子(FF)が増える仕組みが研究されています。p-dietitian.or.jp
さらに、厚生労働省も睡眠不足は疲労感につながると説明しています。mhlw.go.jp
紫外線や生活習慣も関係することがある
「疲労物質が増える原因って、運動だけじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。
活性酸素は体内で自然に発生するものですが、紫外線や喫煙、過度な飲酒、強いストレスなどによって酸化ストレスが増えることがあると言われています。beauty.hotpepper.jp
疲労物質を一つの原因だけで考えるのではなく、運動量・睡眠・ストレス・生活習慣などをまとめて見直すことがポイントです。疲れを感じたときは無理を続けず、まずは十分な休息を意識してみましょう。
引用元:大阪公立大学「疲労のメカニズム」
引用元:厚生労働省「休養・こころの健康」
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疲労物質をためないためにできること
まずは十分な睡眠と休息をとる
「疲れを感じたら、何か特別なことをしたほうがいいの?」と思う人もいるでしょう。実は、疲労物質を意識する前に、まず見直したいのが睡眠と休息です。
厚生労働省では、休養には「休む」だけでなく、心身の状態を整えて活力を養うという意味も含まれているとされています。十分な睡眠や余暇を確保し、日中にたまった疲れを休息によって回復させることが大切と言われています。厚生労働省
「忙しいから睡眠時間を削る」という状態が続いているなら、まずは寝る時間を確保するところから始めてみましょう。
バランスのよい食事と適度な運動を心がける
「食事や運動も疲労と関係するの?」と感じるかもしれません。
厚生労働省は、健康づくりのために栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠といった生活習慣を整えることが重要としています。特定の食品だけを食べれば疲労物質がなくなる、というわけではありませんが、主食・主菜・副菜を組み合わせるなど、バランスを意識した食事を心がけたいところです。厚生労働省
また、運動不足も睡眠による休養感に影響する要因の一つとされているため、無理のない範囲で歩いたり、軽く体を動かしたりする習慣も取り入れてみましょう。厚生労働省
疲れを感じたら無理をしない
「まだ頑張れる」と思っていても、疲労感が強い日は少し立ち止まることも大切です。休息を後回しにせず、その日の活動量や睡眠、食事などを振り返ってみてください。
疲労物質を一気に排出する方法を探すより、睡眠・食事・運動・休養を日頃から整えて、疲れをため込みにくい生活を意識することが基本と言えるでしょう。
引用元:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 厚生労働省
引用元:厚生労働省「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」 厚生労働省
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疲労物質による疲れが続くときは専門家に相談しよう
休んでも疲れが続くときは無理をしない
「しっかり寝たはずなのに、なんだか疲れが抜けない……」そんな状態が続いていませんか?
疲労感は、運動量や睡眠不足、ストレスなど、さまざまな要因が重なって生じると考えられています。そのため、「疲労物質がたまっているから」と一つの原因だけで判断するのは難しいでしょう。
厚生労働省では、疲労の蓄積度を確認するための自己診断チェックリストを公開しています。自分の疲れ具合や生活への影響を振り返るきっかけとして活用できると言われています。(mhlw.go.jp)
「少し休めば大丈夫」と我慢し続けず、まずは睡眠や食事、仕事や運動の負担などを見直してみてください。
強い疲労感が長く続く場合は医療機関へ
「疲れているだけだから」と、そのままにしてしまう人もいるかもしれません。しかし、疲労感がなかなか改善しない場合、睡眠の問題やほかの体調不良が隠れている可能性もあります。
厚生労働省の情報でも、慢性的な疲労感や日中の強い眠気などが続く場合には、医療機関への相談がすすめられています。(kennet.mhlw.go.jp)
また、疲労に加えて発熱、痛み、体重の変化、息苦しさなど気になる症状があるなら、自己判断で済ませないほうがよいでしょう。
体の疲れは専門家に相談してみよう
「どこに相談したらいいの?」と迷ったときは、まず医療機関に相談し、疲れの原因を確認してもらう方法があります。特に、休養をとっても疲労感が続く、日常生活や仕事に支障が出ているといった場合は、早めの相談を検討してみてください。
なお、筋肉の張りや体の使い方などが気になる場合には、整体・整骨院などで相談する選択肢もあります。ただし、強い症状や長引く不調があるときは、まず医療機関への相談を優先するとよいでしょう。
疲労物質を「排出すればすぐに疲れが取れる」と考えるのではなく、疲れが続く背景を確認しながら、必要に応じて専門家へ相談することが大切と言われています。
引用元:厚生労働省「労働者の方へ」 厚生労働省
引用元:厚生労働省「昼間の眠気―睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」 健康日本21アクション支援システム
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