骨盤回旋に関わる筋肉には、腹斜筋や大殿筋などさまざまな筋肉があります。骨盤回旋の仕組みや左右の動き、関係する筋肉、動きを改善するストレッチ・トレーニング方法をわかりやすく解説します。
目次
骨盤回旋とは?骨盤が回る仕組みを解説
骨盤回旋は体をひねるときに起こる動き
「骨盤回旋って、骨盤そのものをグルグル回すこと?」と思う方もいるかもしれません。
骨盤回旋とは、骨盤が左右方向へ向きを変えるように動くことを指します。たとえば、立った状態で体を右へひねると、骨盤も上半身や股関節の動きに合わせて回旋します。これは腰だけを使っているわけではなく、背骨や股関節、周囲の筋肉などが連動して生じる動きです。
では、普段の生活ではどんな場面で使われているのでしょうか。
歩くときにも骨盤は自然に回旋している
実は、骨盤回旋は歩行とも深く関係していると言われています。歩いているときは、左右の脚を交互に前へ出すため、骨盤も脚の動きに合わせて左右へ回旋します。
「歩くときに骨盤まで動かしているなんて意識したことがない」という方も多いでしょう。それもそのはずで、通常は意識的に動かさなくても、脚や体幹の動きと連動して骨盤が動いていると考えられています。
研究では、歩行中の骨盤回旋が歩幅を広げたり、体の重心が上下・左右に大きく動くことを抑えたりすることに関係すると報告されています。(J-STAGE)
骨盤だけではなく体幹や股関節との連動が大切
骨盤回旋を考えるときは、「骨盤だけを回す」と捉えないことも大切です。
歩行では、骨盤と胸部がそれぞれ回旋しながら協調して動くことで、体のバランスを保っていると考えられています。(J-STAGE)
また、骨盤と股関節の動きにも関係があり、骨盤の動きに合わせて下肢にも運動連鎖が起こるとされています。つまり、骨盤回旋は一つの筋肉だけで生まれるものではなく、体幹や股関節、下肢などが協力して作る動きなのです。
「骨盤をしっかり動かしたい」と考える場合も、骨盤だけに注目するのではなく、周囲の筋肉や関節がスムーズに動いているかを一緒に考えることがポイントと言えるでしょう。
引用元:理学療法科学「歩行時の骨盤回旋運動が重心側方移動に与える影響」
引用元:理学療法科学「歩行時の骨盤回旋に影響する因子について」
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骨盤回旋に関わる筋肉は?主な筋肉を紹介
骨盤回旋には複数の筋肉が関わっている
「骨盤回旋って、結局どの筋肉を使っているの?」と気になる方もいるでしょう。
骨盤回旋は、一つの筋肉だけで起こる動きではなく、体幹や股関節周辺の筋肉が協調して関わっていると言われています。なかでも、体をひねる動きに関係する腹斜筋や、骨盤の安定に関わる中殿筋・大殿筋などは重要な筋肉として挙げられます。
また、股関節の動きを支える腸腰筋なども、骨盤と脚の動きをスムーズにつなげる役割を担っていると考えられています。「骨盤だけを動かす」というより、周囲の筋肉と関節が一緒に働いているイメージです。
腹斜筋は体をひねる動きに関係する
骨盤回旋について考えるとき、まず注目したいのが腹斜筋です。
腹斜筋はお腹の側面にある筋肉で、体幹の回旋や側屈などに関わると言われています。たとえば、イスに座って上半身を左右にひねるときにも働く筋肉です。
「お腹の筋肉なのに骨盤にも関係するの?」と思うかもしれません。体幹と骨盤は別々に動いているわけではないため、腹斜筋の働きも骨盤の動きとつながっていると考えられます。
大殿筋や中殿筋は骨盤を支える
お尻にある大殿筋や中殿筋も、骨盤回旋を考えるうえで外せない筋肉です。
大殿筋は股関節の動きに関わり、中殿筋は片脚で立つときなどに骨盤を安定させる働きがあると言われています。歩行では左右の脚を交互に動かすため、骨盤と股関節の動きも連動します。
実際に、歩行中の骨盤回旋は下肢や体幹との協調運動として行われ、歩幅や重心の移動にも関係すると報告されています。(J-STAGE)
腸腰筋など股関節周辺の筋肉も関係する
「骨盤回旋なら、お腹とお尻だけ鍛えればいい?」というわけではありません。
骨盤と脚をつなぐ腸腰筋など、股関節周辺の筋肉も動きに関係すると考えられています。骨盤回旋をスムーズにするには、特定の筋肉だけを見るのではなく、体幹・骨盤・股関節がどのように連動しているかを意識することが大切です。
なお、歩行時の骨盤回旋には左右差がみられることも報告されており、必ずしも左右が完全に同じ動きをするとは限らないと言われています。(J-STAGE)
引用元:歩行時骨盤回旋運動が重心側方移動に与える影響
引用元:歩行における骨盤回旋の左右非対称
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骨盤の前方回旋・後方回旋で使われる筋肉の違い
骨盤の前方回旋と後方回旋とは?
「骨盤の前方回旋と後方回旋って、どう違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
ここでいう前方回旋・後方回旋は、一般的には骨盤の前傾・後傾として説明される動きに近いものです。前方回旋では骨盤の前側が下がり、後方回旋では前側が上がるように動くと言われています。(PubMed Central (PMC))
では、前方と後方では使われる筋肉も変わるのでしょうか。
前方回旋では腸腰筋や脊柱起立筋などが関係
骨盤を前方へ回旋させる動きには、腸腰筋や大腿直筋、脊柱起立筋などが関係すると言われています。
「腸腰筋って脚の付け根の筋肉じゃないの?」と思うかもしれません。腸腰筋は股関節の動きに関わるだけでなく、骨盤と腰椎の位置関係にも影響する筋肉です。
また、骨盤を前方へ傾ける動作では、脊柱起立筋などの活動も確認されています。実際の動きでは一つの筋肉だけが働くわけではなく、複数の筋肉が協調して骨盤の位置を調整していると考えられています。(PubMed)
後方回旋では腹筋群や大殿筋などが関係
一方、骨盤を後方へ回旋させる場合は、腹筋群や大殿筋、ハムストリングスなどが関係すると言われています。
「前方回旋とは反対の筋肉が働くの?」というイメージで考えると、少し理解しやすいかもしれません。特に大殿筋やハムストリングスについては、骨盤の前傾可動域との関係を調べた研究もあります。(J-STAGE)
ただし、前方回旋ならこの筋肉、後方回旋ならこの筋肉、と単純に分けられるわけではありません。骨盤の動きには体幹や股関節なども関係するため、筋肉同士のバランスや動き方を合わせて考えることが大切と言えるでしょう。
引用元:理学療法科学「Analysis of muscle activity during active pelvic tilting in sagittal plane」
参考記事
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骨盤回旋がうまくできないときに考えられる原因
股関節の動きが小さくなっている
「歩くときに骨盤があまり回っていない気がする……」そんなときは、まず股関節の動きに目を向けてみましょう。
骨盤と股関節は別々に動いているように見えて、実際には歩行などの動作で連動していると言われています。股関節の動かせる範囲が狭くなっている場合、骨盤の回旋にも影響する可能性があります。特に股関節の内旋・外旋などの動きは、骨盤の回旋と関係すると報告されています。(jstage.jst.go.jp)
体幹や周囲の筋肉がうまく連動していない
「骨盤を意識して回そうとしても、なんだか動かしづらい」という場合もあるでしょう。
骨盤回旋は骨盤だけで完結する動きではなく、体幹や股関節、下肢などが連動して起こると言われています。そのため、体幹の回旋が小さかったり、股関節周辺の筋肉が十分に動かしづらかったりすると、骨盤の動きにも違いが出る可能性があります。
歩行時には、骨盤の動きに合わせて下肢関節にも運動連鎖が起こることが報告されています。つまり、「骨盤だけを柔らかくすればいい」と考えるより、体全体の動きを見ていくことが大切です。(jstage.jst.go.jp)
左右差があるからといって、必ず問題とは限らない
「右は回るのに左は回りにくい。これっておかしいの?」と心配になる方もいるかもしれません。
実は、歩行中の骨盤回旋は必ずしも左右対称ではなく、個人差があると言われています。研究でも、骨盤の左右回旋角度にはばらつきが確認されています。(jstage.jst.go.jp)
そのため、左右差だけを見て「骨盤が悪い」と判断するのは適切ではありません。ただし、以前は気にならなかった動きが急に変わったり、痛みを伴ったりする場合は、無理に回旋運動を行わず、専門家に相談することも検討しましょう。
引用元:J-STAGE「歩行時の骨盤と股関節の関係について」
引用元:J-STAGE「歩行における骨盤回旋の左右非対称」
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骨盤回旋をスムーズにするストレッチ・トレーニング
まずは股関節や体幹をゆっくり動かす
「骨盤回旋をスムーズにしたいけど、何をすればいいの?」と迷う方もいるでしょう。
骨盤回旋は骨盤だけで行う動きではなく、股関節や体幹などが連動して起こると言われています。そのため、いきなり骨盤を大きく回すよりも、周囲の筋肉や関節をゆっくり動かすことから始めるのがおすすめです。
たとえば、仰向けで膝を立て、両膝をそろえたまま左右へゆっくり倒す運動があります。無理に床へ近づけようとせず、「気持ちよく動かせる範囲」を意識してみましょう。股関節や体幹の回旋を意識するきっかけにもなります。
お尻や股関節周りのストレッチを取り入れる
「骨盤を動かそうとしても、股関節がつっぱる感じがする」という場合には、股関節周辺のストレッチも取り入れてみましょう。
お尻の筋肉を伸ばすストレッチでは、仰向けで片脚を反対側へ倒す方法などがあります。呼吸を止めず、反動をつけずにゆっくり行うのがポイントです。
また、体幹を左右へひねるストレッチも、骨盤と体幹の動きを意識する方法の一つです。体幹回旋ストレッチについては、股関節の動きとの関係を調べた研究もあります。(J-STAGE)
お尻の筋肉を使うトレーニングも意識する
ストレッチだけでなく、骨盤を支える筋肉を使う運動も取り入れてみましょう。
たとえば、仰向けで膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げる「ヒップリフト」は、大殿筋などを使う運動として知られています。「腰を反らす」というより、お尻を使って持ち上げる感覚を意識するとよいでしょう。
骨盤回旋は、筋肉を柔らかくするだけでなく、体幹や股関節、下肢を協調させることも大切と言われています。(J-STAGE)
なお、運動中に痛みが出る場合や、強い動かしづらさがある場合は、無理に続けないようにしましょう。骨盤回旋には個人差もあるため、「左右同じように動かさなければ」と焦る必要はありません。(J-STAGE)
引用元:J-STAGE「歩行時の骨盤と股関節の関係について」
引用元:J-STAGE「歩行における骨盤回旋の左右非対称」
引用元:J-STAGE「体幹回旋ストレッチが股関節屈曲筋力に与える影響」
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