「鍼灸師の年収は1,000万円」という情報を見たり聞いたりしたことのある方はいらっしゃるかもしれません。特に、鍼灸師を目指している方にとってはとても夢のある年収といえるでしょう。いつもこちらのコラムでは、お客様向けの情報発信を行っていますが、今回は少し雰囲気を変えて、鍼灸師を目指す方向けに、鍼灸師の仕事について詳しくご紹介します。
鍼灸師とはどんな仕事?
鍼灸師(しんきゅうし)とは、「はり」と「お灸」を使って、わたしたちが本来持っている自然治癒力を引き出して、健康を維持するための職業です。体のツボに刺激を与えることで、痛みを和らげたり、病気を予防したり、心身のバランスを整えたりします。
正式には、はり師ときゅう師という別々の資格ですが、どちらも取得して施術する人が多いため、まとめて「鍼灸師」と呼ばれることが一般的です。
鍼灸は副作用が少ないため、赤ちゃんから高齢者、妊娠中の方、スポーツ選手など、幅広い世代や立場の方に利用されています。最近では海外でも注目されるようになり、医療の一環として取り入れる国も増えているそうです。
多くの人の健康のためにお手伝いできるやりがいや、自分の鍼灸院を持てる独立開業が可能な国家資格という点も大きな魅力です。
鍼灸師になる方法は?
鍼灸師になるためには、まず高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が認定する大学・短大・専門学校などで、3年以上しっかりと知識と技術を学んでいきます。
その上で、3年生の2月頃に実施されるはり師国家試験や、きゅう師国家試験に合格すると、晴れて鍼灸師としての免許が与えられます。
鍼灸師は、注射針よりも細い専用のはりをツボに刺して、体の活性化を促す施術を行います。痛みはほとんどなく、安心して受けられるのが特徴です。
国家試験に合格するまでには大変な努力が必要ですが、体に直接触れて健康をサポートする仕事なので、とてもやりがいのある職業といえるでしょう。
鍼灸師の具体的な仕事内容
鍼灸師は、はりやお灸を行うだけではありません。
体の不調や痛みをやわらげるために、さまざまな技術や知識を使って体と心を癒していきます。鍼や灸でツボを刺激する施術はもちろん、脈を診たり、顔色や舌の状態から体調を読み取ったりと、繊細な観察力も求められる仕事です。
ここでは、鍼灸師が実際にどんな施術を行っているのか、詳しくご紹介していきます。
鍼療法
鍼療法とは、髪の毛ほどの細さのステンレス製の鍼を、体にあるツボ(経穴)に刺して刺激を与える方法です。痛みを和らげたり、こりをほぐしたり、血流を良くする効果が期待できます。
鍼を刺してすぐ抜く方法もあれば、刺した鍼に微弱な電流を流してより深い効果を狙う方法もあり、施術のスタイルは、施術する人や施術院によってさまざまです。
灸療法
灸療法とは、もぐさというよもぎから作られた素材を使って、体のツボに温かい刺激を与える施術です。
直接皮膚の上にのせて火をつける「直接灸」と、間にしょうがやにんにくなどを挟んで行う「間接灸」という方法があります。
じんわりとした熱が体の奥まで届き、血流を促したり、免疫力を高めたりする効果が期待できます。ほんわかとした温かさに包まれる施術は、心までほぐしてくれるような優しさがあります。
脈診
脈診とは、患者さんの手首に触れて、体のエネルギーの流れやバランスを感じ取る技術です。
一般的に病院などで行われる、脈を測る検査とは違い、脈の強さ・リズム・弾力などを細かく読み取ることで、体の不調や内臓の状態を探っていきます。
習得には経験と感覚が必要になりますが、脈からわかるサインを見逃さずに心と体の声を聞き取る、とても繊細な施術方法です。
望診
望診とは、患者さんの顔色、舌の色や形、肌の状態などをよく観察して、体の内側の様子をチェックする方法です。
体つきや動き、表情の変化まで細かく見て、隠れた不調のヒントを探していきます。
体からのメッセージを読み解くような施術方法で、患者さん一人ひとりの体調やバランスを探っていき、ぴったりな施術につなげていきます。
鍼灸師の年収は1,000万円って本当?
「鍼灸師は年収1,000万円」と耳にすることや聞いたことがある方がいるかもしれません。
実際のところどうなのでしょうか?年収1,000万円と聞くと、とても夢のように感じられますね。
厚生労働省の調査によると、全国平均はおよそ459万円ほどといわれています。
(参照:はり師・きゅう師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
もちろん、あくまで全国平均です。働き方によって収入に幅があり、病院に勤務するケースもあれば、自分で開業して成功する道もあります。特に独立して人気の鍼灸院を開けば、1,000万円以上を目指すことも夢ではありません。
最近では、スポーツ選手がケアに鍼灸を取り入れるなど、鍼灸の注目度はどんどん高まっています。体の疲れを癒すだけでなく、心も整える力がある鍼灸。これからますます需要が広がっていきそうですね。
鍼灸師としてレベルアップすれば年収1,000万円は夢じゃない!
鍼灸師として経験を積み、スキルを磨いていくと、年収アップも夢ではありません。
より条件の良い職場に転職したり、関連資格を取得して施術の幅を広げたり、独立して自分の鍼灸院を持つ道もあります。
努力次第で、やりがいだけでなく収入面でも大きな成長が目指せるのが鍼灸師という仕事です。
ここでは、レベルアップを叶えるための具体的な方法をご紹介します。
高待遇の鍼灸院に就職する
鍼灸師になって多くのお金を稼ぎたい!今よりもっと収入を上げたい!と思ったら、待遇のよい鍼灸院に就職・転職するのがひとつの手です。
鍼灸院によって、基本給の高さやインセンティブ制度、昇給の頻度など、働く環境は大きく違います。
特に、基本給が高めに設定されていたり、頑張った分だけインセンティブがしっかり支給される職場を選べば、年収アップが目指せます。
無理をせず、今の自分に合った条件の職場を見つけることが、ステップアップへの近道です。
関連する資格を取得して活躍の場を広げる
鍼灸師としてさらに活躍するためには、関連資格の取得もおすすめです。
例えば、あん摩マッサージ指圧師の資格を持っていれば、鍼灸に加えてマッサージの施術もできるようになるため、対応できる患者さんの幅が広がります。
さまざまなスキルを持つことで、働ける場所やチャンスが増え、収入アップにもつながりやすくなります。
新しい技術を身につけることは、自分自身の可能性を広げる大きな一歩になりますね。
独立する
独立して自分の鍼灸院を持つことも、収入を大きく伸ばすチャンスの一つです。
自分で仕事のペースを決められたり、施術スタイルを自由に組み立てられたりするのは、開業ならではの魅力です。
ただし、開業にはまとまった資金が必要ですし、収入が安定するまでは不安もつきものです。
さらに経営の知識や集客の工夫も必要で、簡単にはできないのが現状です。
成功のためには、しっかりと準備期間を取り、事業計画を立ててコツコツと進めていくことが大切です。
まとめ
この記事では、鍼灸師を目指す方向けに、鍼灸師の具体的な仕事内容や全国平均年収、収入を上げる方法などについて詳しくご紹介しました。鍼灸師は多くの人の健康をサポートできる仕事です。レベルアップして仕事の幅を増やしていくことで、収入をアップさせることも十分に可能です。また、それ以上に、人と接する仕事がしたい方や健康に興味がある方におすすめといえます。興味を持っていただけた方は、ぜひ鍼灸師を目指してみてくださいね。